educationsalonの日記

Education Salon

教育についての記事。教育現場のあまり知られていない情報をあげています。

スタディサプリでは伸びない構造になっている

まず大前提としてスタディサプリは最強の学習ツールです。
あれに勝るものはありません。
現在ほぼ全ての学校で行われている先生1人と黒板で、30〜40人に対して行う講義形式の授業が行われているのは、学校教育が始まった明治には光と音を個別に伝える技術がなかったからです。
講義形式だと巻き戻せないので「先生!質問があります!」という一人の声でもう成り立たなくなります。
集団授業よりも、個別指導。個々人の成長に合わせて課題を設定していく方が伸びるに決まっています。しかし、今のようにスマホとネットがない明治にはそんなことはできませんでした。ですので、子ども太刀を1ヶ所に集め、知識のある大人が話を聞かせるという現在まで続く講義形式になりました。
スタディサプリはその壁を打破し、個別に光と音を伝えられるようにしました。理解できるまで何回も視聴可能で、しかも低価格です。
これに勝る学習法はないでしょう。
しかしスタディサプリでは成績はうまく伸びません。今日はそのことについてです。

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  • 講義型で、予備校と同じ

何回も視聴することは可能ですので、理解はしやすい構造になっていますが、「量」の要素がありません。
以前の記事でも書きましたが、偏差値を伸ばすのには「質」と「量」の両輪が必要です。(参考:https://educationsalon.hatenablog.com/entry/2020/02/05/040902
予備校の授業も同じです。1問から多くを学んでもらおうとしているので、量までは賄えません。ですので、量は学校のテキストや宿題という形になっています。
「質」の部分だけで成績の伸びる生徒ももちろんいますが、本当に本当にごく僅かです。「量」をこなさないと解法を暗記できないので、成績は伸びません。
「文法はスタディサプリで頑張ったんで大丈夫です!」という生徒に限って、マーク模試で点数が取れていなかったりします。「大丈夫」というのが「関先生の言っていることは理解できました」という意味なのでしょう。

 

  • 遊びの領域に「勉強」を入れた

「学び」ではなく「勉強」です。
今高校生や中学生の保護者様でしたら、インベーダーゲームやファミコン世代ではないでしょうか?
喫茶店に行って熱狂したという話を聞きます。インベーダーゲームの筐体や、ファミコンで勉強ができると言われたとしてやりましたか?
ぼくが一番行ったゲーム機はPS2とPSPだと思うのですが、PS2で勉強ができると言われても行ったとは思えません。
ゲーム機は遊ぶためのものです。今の子どもにとってスマホは遊びのデバイスであり、遊びの領域に「勉強」を入れても、自分たちの聖域が犯されたとやりません。

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  • 日本人には早すぎる

収録した動画を見るサブスクモデルのオンライン学習は日本人向きでありません。
小学校・中学校の間に徹底的に勉強とは「自らで学ぶもの」ではなく、「誰かに教わるもの」というマインドセットを植え付けられるからです。そのマインドセットに逆らって自分で学ぶのは、強制力が低いのでハードルが高いです。
だから強制力を持たせるために東進衛生予備校は動画を見るためだけの学習スペースを作りました。
オンライン学習のマーケットは4000億円と言われています。
まだまだオンラインの教育市場は伸びますが、自習ができる者でないと難しい現実があります。寝たい、漫画読みたい、YouTube見たい、ダラダラしたいという気持ちを自制させて学習に打ち込まなければなりません。これは大学生や社会人でも同じです。
スタディサプリを筆頭とするオンライン学習のコンテンツがあるにも関わらず、結局売れているのはまだまだ塾・予備校です。

 

  • コンテンツがよくない教科が多い

関正生先生の英語とか数学のぼくが見ても、非常に学びになりますし、分かりやすいです。
「へー!そうだったんだー!と思うことも多いです。
しかし、数学は最悪です。複素数平面が3回の授業なんかで終わるわけないじゃないですか。
数学は自分の教科なので、問題を見るとその出題の意図がわかるのですが、スタディサプリはわからないものがあります。そもそも問題文の意味がわからないものもあります。ぼくの指導力の問題なのでしょうか。担当しておられる講師の方より実績はあると思うのですが。
化学と英語は非常に素晴らしいものとなっていますが、数学はよくないと教科毎にコンテンツの質の差が大きいです。ハッキリ言って数学はオススメできません。

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  • リクルート流のパワープレイがしにくい

スタディサプリは動画の著作権を運営であるリクルートが持っていません。著作権を講師が持っているので、リクルート流のパワープレイができません。
リリース時には全国の学校にリクルートの営業マンをバラまくというパワープレイができました。
最初の導入は予想よりも小さい規模でしたが、そこから拡大していきました。2016年3月現在全国約5,000の高校のうち約700校で利用されているそうです。これは大きいですが、本当にいい商品でしたらもっと拡大しています。
うちの塾に来ている生徒からもスタディサプリのクレームはよく耳にします。先生は生徒の動画の視聴実績を見れるそうですが、見れるというだけで活用はしていないのが現状でしょう。多忙な学校の先生はそこまで手を回すことができないのではないでしょうか。動画を見ていないからといって、動画を見ろと言ったところで、「塾の授業の方がわかるし、スタディサプリの先生の言っていることわからん」と返されるだけです。

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最近は塾+スタサプなんて売り出していますが、これは完全に敗北宣言です
スタディサプリ側は最初の投資が大きいから、回収し終わったら撤退するのではないでしょうか?リリースされた当初ほど、話を聞かなくなりました。おそらくリクルート側も飽きているのでしょう。
リクルートの強みは人と人を繋ぐことです。生徒と教授や研究室を繋ぐサービスにすればかなり伸びたでしょうが、生徒と学校を繋ぐために受験業界に入りました。
リクルートには受験業界のノウハウがないので、学生や、その保護者さん、学校関係者の方の、変わりたくないという熱量や塾や学習塾への信頼の大きさは想定外だったのではないでしょうか?

 

 

いかがでしたか?
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