educationsalonの日記

Education Salon

教育についての記事。教育現場のあまり知られていない情報をあげています。

鉄緑会と鉄緑崩れ

多くの受験生から人気の鉄緑会。
入会に厳しいテストや、指定中学校があったりと入るだけでも難しい学習塾です。
東京の鉄緑会は東大専門、大阪・関西の鉄緑会は東大・京大・国公立医学部専門の学習塾として全国に知られるエリート集団ですね。


鉄緑会は徹底的な先取り学習です。中学の3年間で、高校までのカリキュラムを全て行います。中1中2で数2Bまで、中3で数3を行うような形です。
高校のカリキュラム終了後、過去問演習などで受験対策を繰り返していきます。
鉄緑会が中高一貫校の生徒を対象にしているのも、中学受験の学習に耐えれたフィジカルの方が、鉄緑会のカリキュラムについてこられる可能性の高いからです。
確かに、中学の3年間で数3のチャート式がスラスラ解けるレベルまで持っていき、3年間で受験対策が行えたらどこの大学にだって合格できるでしょう。予備校講師としても、受験突破を目標としたときの合理的な方法だと思います。
しかし、それだけです。

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ぼくはあまり鉄緑会を好んでいません。
それは受験勉強、合格よりも大切な時間が6年間の間にはあると考えているからです。
それはサッカー部の方もいるでしょうし、友達と全力で遊びことかもしれません。
価値基準は人それぞれです。
鉄緑会の価値基準は東大・京大・国公立医学部への現役合格です。
中学・高校の6年間を全て勉強に費やし、現役合格する。非常に素晴らしいことだとは思います。しかし、開成にいるような本当にごく一部の受験勉強が得意な人間は高1の夏で片付いたりします。受験はある種のゲーム性があり、テレビゲームが得意な人間が好成績を納めることがあります。そういった学生は自分の価値基準がどこにあるのかをわかっており、鉄緑会でいくら頑張ってもそんな生徒には受験勉強でも幸福度でも敵いません。
インターネットが発達し、価値基準が横並びになっていく中で、多様性と言われている。このねじれた関係の中で「幸福度」はキーワードの一つです。
あくまで勉強は趣味であり、善ではありません。

 

中学受験終了後するべきこととして、「鉄緑会への申し込み」「鉄緑会の入会テストを受ける」ことが挙げられています。(やっと受験が終わったのに、すぐ塾の申し込みに行く。受験のブランド信仰に対して恐怖を感じますね)
指定校に合格していれば、入会テストを受けなくても入会できますが、指定校でない方は受験生として仕上がっている状態で入会テストを受けようということです。
しかし「鉄緑に入れたから、これで大学受験は問題ない」なんて考えるのは浅はかです。
皆さん「鉄緑崩れ」という言葉をご存知でしょうか?

 

鉄緑崩れとは、鉄緑会に入ったものの、授業についていけなくなり、鉄緑会を辞めてしまった生徒のことです。
カリキュラムが早く、ついていけなくなり辞めるというのはどこの塾でも起きうることですが、鉄緑会の場合は別の力学がかかり、バツが悪いです。
鉄緑会に入会した子どもは「よし大学受験に向けて頑張るぞ」「ここで頑張れば東大!医学部!」と鼻息荒く、気合も入っています。中学受験に突破した、入会テストに突破した学生なので、勉強に関してはプライドも自信もあるでしょう。
そんな子どもが部活や学校のスケジュールなどで、授業についていけなくなることもあります。中には、これまでいつも上位にいたため、こんな点数やこんな順位をとったことは初めてという子どももいるでしょう。
そこで理解度的にもメンタル的にもうまく修正できるかできないかが重要で、修正できなかった場合にどんな反応になるかわかりません。

 

理解度は時間をかけて進めればなんとかなりますが、怖いのはメンタルの部分です。
修正できなかった場合、「落ちこぼれ」だと点数からも、授業内容からも、何よりも自分自身からも記号をつけてしまいます。
ここで辞めると東大は無理だ、医学部は無理だと思ってしまい、なかなか鉄緑会の椅子から離れることができません。(現代の縮図を見ているようですね。)
授業はわからないが、東大は諦めたくないという気持ちにより、教室に行って、板書を写すだけのいわゆる「地蔵」の生徒になってしまいます。
このままではダメなことはわかっているが、どうしたらいいのかわからない。相談に行って、あなたと合ってないからヨソの塾に行って基本からやりなさいなんて言われることが怖くて、相談に行くことすらできません。
そのときにはメンタルはもうボロボロです。ここに鉄緑会の恐ろしさがあります。

 

一人でもライバルを減らして野に放つ。
元々は優秀な子どもです。理解度に合わせて丁寧に進めれば、偏差値は伸びます。しかし、その子が持っていた自信や学ぶことでの成功体験を全て壊してボロボロにしてから、野に放ちます。
自己肯定感なんてまるでない、やっても自分は敵わないというマインドセットになって、他の塾を探すことになります。
そんな子どもを何人も見てきました。

 

現役東大合格、現役京大合格、現役国公立医学部合格は確かに非常に難しい営みです。
しかし、鉄緑会でなくても合格者は出ています。北野高校なんて現役で京大52名も合格者を出しています。当たり前ですが、彼らは公立中学校からの進学です。
受験勉強はやったらできるようになります。
鉄緑会はあくまで選択肢の一つであり、入ったからといって合格が保証されるわけではありません。
6年間を勉強に費やすのも選択肢の一つです。しかし6年間で自分の好きなもの、進みたい方向を見つけることの方が大切ではないでしょうか?
今は大学名よりも専攻とやりたいことを一致させることの方が遥かに重要です。

 

 

いかがでしたか?
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