educationsalonの日記

Education Salon

教育についての記事。教育現場のあまり知られていない情報をあげています。

二次試験よりも共通テストの方が難しい

2024年1月13日と14日に第三回目の共通テストが実施されました.

英語が難化したと話題になったのですが,現在の大学受験では私立大学,国公立大学の二次試験を含めても,共通テストが一番難しいと言えます.

高度で複雑な解法や知識理解は二次試験の方が必要ですが,共通テストでは「これを行えば,〇〇点は取れるだろう」と思える問題集が過去問ぐらいしかない,つまり核心的な対策ができないということが,最も難しいと言う理由です.

センター試験では,「知識理解」のみが求められましたが,共通テストでは,「知識理解」「知識を活用して課題を解決する」力が要求されています.そのため,長い問題文を読んで,課題を解決するのに最適な方法を選べる力が必要となります.

つまり,センター試験のように誘導に乗ればいいというだけでしたが,共通テストでは問題文に対しての文脈理解が必要になったということです.

共通テストの対策として,塾や予備校の授業を受けてもあまり効果はありません.授業を聞いて,解法が理解できても,問題文からその解法を選択できる力は身に付けられないからです.

過去問と各予備校が出版しているパックや,総合問題集・実戦問題集(共通テスト模試の過去問を集めたもの)といった類似していている問題集を解いても,長い文章に対して「慣れる」ということはありますが,「読んで問題の状況が理解でき,手の動かし方が見つかる」とは異なります.

(もちろん,長い文章に慣れることが目的の場合には類似問題集を解く価値はあります.)

問題集が不十分であることを含め,効果的な対策がないということから,現在最も難しいのは共通テストだと言えます.

 

 

大前提として共通テストは難しくすると決まっていた

大学入試制度改革はセンター試験が共通テストに変わるというだけではありません.共通テストの難易度をあげて,国公立大学の二次試験を無くして大学の負担を軽減させようという計画でした.

大学は就職予備校ではなく,研究施設です.日本は博士号取得者数はどんどん減っていき,論文数も今や米中の足元に及ばないほど少ないです.

大学受験の問題作成・採点は,大学にとって非常に大きな負担です.国力を伸ばすためにも,大学には研究に集中してもらいたいと,この負担を軽減させるために計画されたのが,大学入試制度改革です.

したがって,共通テストは現在実施されている二次試験まで含めた学力を測ることができるものにしなければならず,センター試験よりも難しく設計されることが,初めから決定されていました.

その「二次試験まで含めた学力を測れるもの」として選ばれたのが,問題文が非常に長く,文脈理解まで含めた思考力が要求される,現在実施されている共通テストになりました.

 

 

対策ができない

定期テストの場合,学校から配布されている問題集を解くことで,「〇〇点は取れるだろう」「これだけやったから大丈夫だろう」と思えます.

これは定期テストに出題される問題の類似問題をたくさん解く,経験を積むことで,解法のパターン暗記が行われ,本番でも解けるようになるという構造です.

身の回りにある数学の問題を見てみましょう.

問題文が短いですよね.国公立大学の二次試験の問題も短いです.

これが共通テストになるとこのようになります.

数学は文章が長いだけで,難易度がグンと上がります.

ここまで長い問題文の問題が用意されている問題集はありません.つまり,共通テストには類似問題集がないということです.

また,問題文が長くなると1冊あたりのページ数も増え,1冊あたりの値段も上がり,売れにくくもなります.(厚い問題集はそれだけで敬遠されます)

 

では,各予備校が出版しているパックや,総合問題集・実戦問題集はどうでしょうか?

問題文の長さは問題ありません.パックの方が長いこともあるでしょう.しかし,そういった問題集では問題文と解法の距離が共通テストほど離れていません.

つまり,パックの方が「知識を活用して課題を解決する」力の要求が高くないということです.また,国公立大学志願者以外も受験をするので,「知識理解」を問う問題も積極的に取り入れなければなりません.

したがって,共通テストほど思考力が要求される問題集はありません.

駿台や河合塾,東進ハイスクールといった大手予備校・学習塾が本気を出したら,共通テストに負けず劣らずの問題が掲載されているような非常にいい問題集は作ることができるでしょう.

しかし,今や大手予備校であっても,それを行える体力(資金力)がありません.それほどまでに予備校のメインターゲットである高卒生が減少したことが背景にあります.

今の受験生は本を読む習慣がない

受験生に人気の参考書「面白いほどとれる本」はどうでしょうか?

あの本で対策ができるとは到底言えません.

あの本は元々,センター試験時代に0から100点まで取れることを目標にしていました.センター試験は知識理解が中心でしたので,あの本をしっかり理解していれば,高得点が期待できました.

しかし,共通テストはそう簡単にはいきません.基本的な数学の解法暗記ができていても,国語的な文章理解を早く行えなければ解けません.

あの本では,「知識を活用して課題を解決する」力までは身につけられません.知識を活用して課題を解決する力は,積み重ねが必要で,一朝一夕では身につきません.もっと言うと,一つの教科の学習だけで身につくものではありません.日頃から,社会や現象を眺め,自分の学んだ内容と結びつける必要があります.

しかし,あの本には各教科の基礎が書かれていますので,受験生が読むことはオススメです.あの本をしっかり読んだからといって,共通テストはバッチリとまでは言えないことに注意しましょう.

国語的な文章処理を早く行えるようになるには,読書しかありません.速読といった本を早く読むスキルを身につけるのもいいのかもしれません.

共通テスト作成部会の方は本を読むことで学んできた世代でしょう.ですので,読書の重要性をわかっています.

今,共通テストを受ける世代の子どもは,小さい頃からずっと「本を読みなさい」を言われ続け,読書を避けてきました.

共通テストは,その読書という習慣を捨てたことへの警鐘とも言えます.

最大の対策

最大の対策は高校生活で豊かな時間を過ごすことです.

文科省が社会人になるまでに身に着けて欲しいとしている「確かな学力」とは,

①基礎的な知識及び技能

②基礎的な知識及び技能を活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力等の能力

③主体的に学習に取り組む態度(主体性,多様性,協働性)

といういわゆる学力の3要素です.

センター試験では①が要求され,共通テストでは①と②が要求されるようになったと上で記しました.そして,②の能力は1日,2日で身につくものではなく,日頃からの学習,学習の積み重ねが必要だとも記しました.

その学習の積み重ねこそ,③の主体性に他なりません

学校の授業に積極的に参加するだけでなく,授業後の部活も積極的に参加し,帰宅してからは授業の予復習を行う.余暇は自分の興味関心の向く学習を行い,自分の進路やキャリアデザインを考える.

もちろん,遊ぶことも忘れてはいけませんので,教科の学習だけでなく,学校行事や地域や社会での体験活動(ボランティア活動など)も行わなければなりません.

このように主体的に学ぶことで,知・徳・体の育成ができるとしています.

受験勉強のみに費やす青春時代というのも,それはそれで味わい深いですが,それでは知に偏り過ぎてしまい,徳・体の部分の成長が小さくなります.

実際,鉄緑会で上位クラスに在籍していても,共通テストでうまく点数が取れなかった生徒は多くいます.

高度に発達した現代社会では,社会人になるまでに学ばなければならないことが,非常に多くなりました.

受験勉強以外にも,学ばなければならないことが多くあります.それは共通テストの得点にも繋がります.

共通テストで高得点をとるためにも,豊かな時間を過ごさなければなりません.

最後に

共通テストは文脈理解が必要な試験になったということから,学び方を改めなければならないと言えます.

共通テストが実施される前は,二次試験までの学力も測れるテストを作るなんて無理だと言われていましたが,共通テストはこのコンセプトをしっかり満たし,学力を測れる非常にいいテストです.

チャート式が解けるだけでは,共通テストは高得点を取れません.しかし,チャート式が解けなければ,共通テストで高得点は取れないでしょう.

チャート式や4STEP・サクシードに載っている問題の知識理解と解法を暗記して,いつでも使えるようにすることは最低ラインで必要です.

その上で,高得点を目指す方は,読書をしたり,日頃から身の回りの現象と数学,国語や英語と数学を結びつけるという教科の壁を超えた学習を行わなければなりません.

浪人するという選択をする生徒が非常に減った今の受験では,大学生も含めて,学生は大人が思っている以上に時間がありません.

その限られた時間の中で,どれだけ豊かな時間を過ごすことができるか.これに勝る共通テスト対策はありません.

進学先が全てではありません.しかし,「合格したい」「この大学に入学したい」という思いは,あなただけのものです.その目標が達成できて,何事にも変えられない大きな笑顔が生まれることを願っています.

ガンバレ!受験生!

 

いかがでしたか?

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