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大阪府の公立高校受験のシステムをまとめてみた

公立高校の受験のシステムは都道府県ごとに異なります.
調べようと検索してみても教育委員会のペーパーは文字が多く,わかりにくいですよね.

ということで,今回は大阪府の公立高校の受験の仕組みについてまとめてみました.

大阪の公立高校受験は

・特別入学者選抜

・一般入学者選抜

・大阪府立豊中高等学校能勢分校に係る入学者選抜

・海外から帰国した生徒の入学者選抜

・日本語指導が必要な帰国生徒・外国人生徒入学者選抜

の5つの種類があります.
ここでは,受験者数が多い特別入学者選抜と一般入学者選抜について書きます.

 

特別入学者選抜

特別入学者選抜はグローバル探究科,美術科,体育に関する学科など一部の専門学科と総合学科の選抜試験です.学力検査と,実技検査または面接が行われます.

225点満点の学力検査と,225点満点の内申点の合計450点と,実技検査・面接の合計点で合否を判定します.学校ごとに学力検査と内申点の比率を7:3や5:5などと定めています.つまり,学力検査の得点も,内申点も,学校毎に定められた割合をかけて,得点を算出します.

内申点は,各学年の学年末の評定(5段階評定)が用いられます.
中学1年生の評定より,9教科×5段階評定=45点満点
中学2年生の評定より,9教科×5段階評定=45点満点
中学3年生の評定より,9教科×5段階評定×3=135点満点
合計45+45+135=225点

学力検査では英語・数学・国語の3教科は,試験問題は基礎的な問題であるA問題と,標準的な問題であるB問題を各高校が選択し,理科・社会は共通の問題となります.

               

               

では,具体的に水都国際高校グローバル探求科に志望するケースを考えてみましょう.

中1,中2の成績をオール3,中3の成績をオール4だとすると,
内申点は3×9+3×9+4×9×3=162点
水都国際高校グローバル探求科は倍率のタイプはⅠですので,内申点は0,6倍されますから,最終的な内申点としての持ち点は,162×0,6=97,2で,97点となります.

学力試験では,5教科とも30点だったとすると,30×5=150点で,倍率のタイプがⅠですから,150×1,4=210点となります.

これらの合計点に水都国際高校グローバル探求科の場合でしたら,実技検査として英語の音読(20点満点)と英語による口頭試問(80点満点)の得点を加えた合計点で合否が決まります.

 

一般入学者選抜

一般入学者選抜は,普通科や文理学科など,大半の高校で採用されている入試方式です.

出願は1校1学科ですが,募集人数を学科ごとに設定している高校では,第一志望,第二志望を設定することができます.例えば,千里高校は総合科学科と国際文化科の2つの専門学科が併設されており,第一志望を総合科学科,第二志望を国際文化科とした場合,第一志望の合格には届かないが,第二志望の合格に届いた場合,回し合格で,第二志望の国際文化科での合格となります.

450点満点の学力検査と,450点満点の内申点の合計点で合否を判定します.特別入学者選抜と同様に,内申点は,各学年の学年末の評定を用い,学力検査の得点も,内申点も,学校毎に定められた割合をかけて,得点を算出します.

中学1年生の評定より,9教科×5段階評定×2=90点満点
中学2年生の評定より,9教科×5段階評定×2=90点満点
中学3年生の評定より,9教科×5段階評定×6=270点満点
合計90+90+270=450点

学力検査は英語・数学・国語・理科・社会の5教科で,英語・数学・国語の試験問題は基礎的な問題であるA問題と,標準的な問題であるB問題,発展的な問題であるC問題を各高校が選択します.理科・社会の試験問題は学校に関わらず,一般入学者選抜では共通です.

例えば,北野高校では英語・数学・国語の3教科で全てC問題が採用されていますが,住吉高校では,英語・国語はC問題,数学はB問題が採用されています.自分の志望校の問題がどれなのか調べておきましょう.

また,問題によって試験時間が異なりますので注意が必要です.英語のA・B問題は筆記が40分,リスニングが15分ですが,C問題は筆記が30分,リスニングが25分となります.

 

 

英語資格(外部検定)利用

一般選抜でも,特別選抜でも英検をはじめとする英語の外部検定が利用できます.

試験当日,英語の試験が免除されるということではなく,当日試験の英語の得点と,外部検定のスコアを府教育委員会が定めた読み替え率により換算した得点のうち,高い方の得点を学力検査の成績とします.これは,一般選抜でも,特別選抜でも,A問題,B問題,C問題に関わらず,すべての問題において対象となります.

外部検定を活用する場合は,出願時にスコアを証明する証明書の写しの提出をしなければなりません.

英検2級をとっていれば,C問題であっても80%の得点になるので,大阪では高校受験のために英検を受験する生徒が増えています.

 

合格最低点はわからない

受験生の方は,志望校の倍率のタイプを見て,内申点を計算して,合格最低点から当日試験で何点とればいいかを計算するのではないでしょうか?

しかし,大阪の公立高校は合格最低点を公表していません.

特別選抜では,実技や面接があるために,合格最低点からの逆算が難しいのはわかりますが,一般選抜を考えている受験生にとっては厳しいですよね.

合格最低点の予想を載せているホームページも多いですので,活用して,自分の受験の戦略を立てるようにしましょう.

 

まとめ

大阪の公立高校のC問題は全国1難しい問題だと言っても過言ではないほど,難しいです.

大阪の公立高校の最難関だとされている北野高校であっても,数学と英語は40%~50%程度の得点率で合格できると言われています.さらに,北野高校をはじめとする上位校になると,ほとんどの受験生がオール5に近い内申点ですので,内申点では差がつきません.

ですので,C問題を採用している学校では,国語・理科・社会でいかに高得点をとれるかで合否が分かれます

 

なぜここまでC問題は難しいのでしょうか.

それは大阪の公立中学校で働く教職員に対しての「この問題を解ける子どもを育成しなさい」という教育委員会からのメッセージだからです.

大阪は長い間,全国学力調査で最下位でした.これではダメだと,生徒だけでなく教員ももっと勉強しなさいと意図を込めてC問題を作りました.
C問題が実施されるようになったのが2016年からで,大阪の中学校で給食が実施されるようになったのが2013年です.それ以前は,全国で唯一,中学校で給食を実施することすらできなかった恥ずかしい都道府県でした.

現在,全国学力調査で大阪は最下位ではありません.
最下位を脱することができたのは,公教育に携わる様々な方々の不断の努力のお陰ではないでしょうか.

確かにC問題は難しく,多くの受験生の悩みのタネでしょう.しかし,そこには多くの願いや期待が込められているとも見えます.
学校教育にはまだまだ様々な課題がありますが,そこで従事する方々へは尊敬の念が尽きません.

 

ガンバレ!受験生!

 

いかがでしたか?
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